「えっ私?」

後ろからいきなり肩を叩かれた晶は驚いて声が裏返った。

「JRの駅ってどうやって行くの?俺たち大阪から来たから分からないんだよ」

「駅ですか……」

相手のなれなれしい態度にムッとしながらも丁寧に教える。
大阪から来たという二人連れの男はちゃんと聞く気があるのかニヤニヤしながら無遠慮に晶の体を見ていた。

「分かりました?」

「分からないなあ、おい高明、分かった?」

「全然分からないっすよ」

「悪いねえ、お姉さん。案内してよ」

そう言うと背の高い方の男が、いきなり晶の腕をつかんだ。

「やめてよ!」

「気が強いねえ、俺たち道を教えてくれって言ってるだけじゃんか?」

「自分で行って下さい。私は忙しいんです」