「ごめん晶、お母さんに買物頼まれてたんだ。先に帰って」

何かを思い出したかの様に真澄が立ち止まった。

「私もついて行くよ」

「いいって、大した買物じゃないし時間かかりそうだから」

なおも未練ありそうな晶を置いて真澄は背を向けた。

「じゃまたね晶」

「うん」

取り残された晶は一人淋しく帰路につく。

「大した買い物じゃないけど時間かかるって何よ? あ~あ、つまんない。今さら隼人呼び出すのもなあ」

もう怒ってなんか無いのだが、自分から電話するのは非を認めたような気がしてしゃくにさわる。

少し思案したあげく取り出した携帯をバッグに戻して再び歩き出した。

「ねえちょっといい?」