「だからチャットやメールは家でこっそりしなさいって教えてあげたのに」

「だって向こうからかかってきたんだもん。チャットを教えてくれた早希も悪い。早希から隼人になんとか上手く言ってよ」

「駄目よ、早希は関口さんの顔知らないから。ねえ早希」

慌てて真澄が口をはさむ。

「う、うん知らない」

「あれっ、紹介してなかった？おかしいなあ」

「じゃ私行くね、また明日」

見た目にも逃げる様に早希は角を曲がって走り去った。

「変なの。早希っていっつもこっちから帰ってた？

「帰ってるよ。私と二人で帰る時はここ曲がってるもん」

平静を装って真澄は答えた。いくら喧嘩しているとは言え早希が隼人と二人で喫茶店に行ったり買物に行ったとなれば晶も黙っていないだろう。