内心ヤバいと思いながらも動揺を隠して抵抗する。隼人はイイ男だし、みんなにも羨ましがられる。

当の隼人も優しいし不満はないのだが、少し自分を縛りすぎるのが嫌だった。

「見てねえよ。一緒に帰ろうと思って迎えにきたけどメールに夢中で晶が気がつかなかっただけだろ」

こうなってくると、もう売り言葉に買い言葉である。

「一緒には帰りません。真澄達と一緒に帰る約束してるの。じゃまたね」

きびすを返して背を向ける晶を隼人が慌てて追いかける。

「何怒ってるんだよ」

「別に怒ってなんかないよ。隼人が怒ってるんでしょ」

「俺は怒ってないよ……なあ今週末どっか行こうぜ。車でさあ少し遠出しない?」

少し考えたがさっきのタクヤからのメールを思い出す。

「今週末は……駄目。予定があるの」

「何?」

「そんなの何だっていいでしょ?詮索しないで」

まさかメル友と会う約束があるとは言えない。

「真澄と早希が向こうで待ってるから行くね。また電話する」

まだ何か言いたそうな隼人を残して晶は廊下をかけ出した。