真澄に心残りだったのは、どうして成一を理解してあげられなかったのか?
どうして成一を、父を救う事が出来なかったのか……である。

その時から真澄は弁護士になる事を目指した。

私がお父さんを助けれなかった分、他の困っている人を助ける。 それが理由だ。

成一の死後、親戚を頼ってS市に移り住んだ真澄達は、母の良枝が生命保険の外交員として頑張ったおかげで今では小さい一戸建てに住む境遇である。

転校した中学で晶と知り合った真澄は理由は違えど同じ様に父を亡くした晶にとても親近感を持った。

話を聞けば聞くほど凄じい晶の境遇だが、そんな様子をみじんも見せず明るく笑いながら話す晶が真澄は大好きだったのだ。

だから尚更、早希の言動には抵抗がある。
早希が冗談だと言うのは理解出来るが、頼むからそっとしといてくれ、という心境だ。

友人の多い晶や早希と違って、真澄にとっての友人は晶だけである。早希も晶の友達だから話はするし、一緒に遊んだりもするが本当に心を許しているのは晶一人であった。