拓海がいなくなり頼れる年上の男だった雄大までもが居なくなってしまったのは寂しかったが、時折スポーツ新聞の片隅に小さく載っている雄大を見つけては頑張っている、もう一人の兄を応援せずにはいられなかった。

あと数ヶ月で早希と拓海の命日だ。
その日には今日の写真を備えよう。
きっと二人とも目を細めて笑ってくれるはずだ。

「真澄も振袖着ればよかったのに」

「だって面倒だもん。昨日から髪とかセットするんでしょ?耐えられない」

大げさに両手をすくめて真澄は首を振った。

「晶、そろそろ式の時間よ」

時計を見てせかすように貴子が言う。

「本当だ、お母さんタクシー呼んで」

「はいはい」