必死で自分を抑えようとした。
晶はもう大人なんだ、自分の事は自分で守るだろうし、人生も自ら切り開いていくだろう、そう考えようとしたが無駄だった。

一旦、スイッチの入ってしまった拓海の精神は、もはや自ら制御出来る物ではなかった。
あと2発残っている拳銃の事もすっかり忘れるほど真澄に対して逆上していた。

そして失敗した。

拓海自身もこうなる事を望んでいたのかもしれない。やっと止まれる……やっと休める……。

真澄は自分の正体に気付いたようだった。

気付かれた以上、自分はこの世に存在する事は出来ないのだ。
これでよかったと拓海は本心から思った。

地獄に行って妹を見守ろう。たった一人の妹、晶を……。

既に部屋には煙が充満していた。
椅子に座っている拓海の体は一酸化炭素の為か、もう動かなくなっていた。