隼人はいつも道路側を歩く。
晶は奥を歩く。
確実に隼人だけを宙に舞わせる事が出来たはずだったのに……晶の姿に気がつきすんでの所でハンドルを切ったが間に合わなかった。

自分は愛する妹を怪我させてしまったのだ。
狂ったように後悔したが遅かった。

もう止めよう……もうこんな殺戮は晶の為にならない……。そう思ったのに拓海にとりついた狂神はそれを許してはくれなかった。

病室で真澄が「晶を守る」と言った時、拓海の心にどうしようもない激しい感情が沸き起こったのだ。

自分でも説明出来ない激しい嫉妬と憎悪。

晶を守るのは俺だ、俺だけだ……俺以外の人間が晶を守るなんてありえない……。

真澄は晶の昔からの親友である。
真澄が居なくなれば妹が悲しむ事は分かりきった事だったが、「私が晶を守る」と言った真澄をどうしても許せなかった。