雄大を困らせるつもりはなかった。
前々から教師がキャバクラなんかに出入りしてはいけないと注意していたのに……。

もう一人、名前もしらない……今でも知らない海の底に眠っている男。

きっかけを作ったのは自分だ。その点に関しては多少なりとも責任は感じている。

しかし、あの男の取った行動は言語道断だ。

成り行きから「マリコ」である晶と会うはめになってしまった拓海は窮地の策として昔、晶の塾講師を襲撃してもらった男に目をつけた。

再び金をつかませ「真左人」のふりをしてもらったのだ。

詳しい事情は説明していない。
ただ真左人とタクヤの簡単な人格説明をし、自分が会うはずだったが急に会えなくなった「マリコ」に会って、適当に話だけしてくれと頼んだのだ。

それをあの男は……あの男は……。