父との思い出が何も見つからず、それが余計に悲しくて、涙だけが嗚咽とともに止まらなかった。

それから自分は変わってしまったと拓海は思った。

責任転嫁するわけではない。
罪を重ねたのは自分自身であるし、その責は命を持って償うつもりだ。

ただ、あの出来事がなければ……。もう遅いが拓海は唇を噛んだ。

あれ以来、拓海には残された、たった一人の男として家族を……強いて言えば晶を守るという一念のみに縛られ生きてきた。

自分でもある種、病的な物だったと思う。

晶に言い寄ってくる男がいれば、独自に調査し、ろくでもない男だったり晶にその気が無い時は、あらゆる手段を使って徹底的に叩き潰した。

晶が高校1年生の時に通っていた塾の講師が、晶の事を気に入って誘われて困ると夕食の席で聞いた時には、街で評判の不良グループに金を掴ませ半死半生の目に会わせた。