「じゃあ少し付き合って下さい。助けてくれたお礼に何かおごりますよ」

言ってから自分でも驚くほど無意識に早希は隼人を誘っていた。 
曲がりなりにも友人の恋人である。たしかに隼人への憧れもあったが、晶への妬みもあった。

「う……ん、いいよ」

一瞬戸惑った隼人だが案外あっさりと返事をした。

(俺から誘った訳じゃないしな)

連れだって歩く隼人と早希の後ろ姿を凝視する人影に二人は気付かない。

早希の右手が隼人の左手に滑り込んだ。