早くしないと隼人が来る。

幸い玄関に救急車が止まっていたので、ボンネットを足場にして地面に飛び降りた。

居合わせた白衣の医師らしき男性が、目を丸くして何か言おうと近づいてきたが、目もくれず走り出す。

行き先なんてなかった。
とにかくここから逃げたかった……隼人から。

病院の門を出て通りに出た所でタクシーを探す。

(早く早く……)

しかし来たのはタクシーではなく、息も絶え絶えに走りこんできた真澄だった。

「真澄!どうしたの?」

「あ、晶……大丈夫?」

肩で大きく息をしながら額に大粒の汗を滲ませている。