一人呟きながら携帯を拾い上げた晶は画面に表示される「隼人」の文字に凍りついた。

全身に緊張が走る。深呼吸して晶は受信した。

「……もしもし」

「ああ俺、もう寝てた?」

何時もと変わらない隼人の声である。

「ううん、起きてた……どうしたの?」

「うん、北條先生と一緒に帰ったんだけど、
やっぱり心配でさあ」

晶や真澄と同じ蓬莱学園の生徒である隼人は今でも拓海の事を先生と呼ぶ。

「大丈夫よ。心配しないで」

「もう面会時間過ぎちゃってるけどさあ、心配だから今から行くよ」

「えっ!……い、いいよ悪いから」

「悪くなんかないよ。今から行くから待ってて。顔だけ見たらすぐ帰るから」