震える声で精一杯の強がりを言う。だが何の反応もしめさない。

「そんなんで私を殺せると思ってるの？やってみなさいよ……来い！」

傘を両手で握り締めお腹の前で構えた。
再びナイフが迫ってくる。

犯人は逆手に持ったナイフを顔の辺りまで引き上げた。

またも切っ先は顔を狙っている。月明かりに反射してサバイバルナイフが黄色く光った。

「う、うわあああ！」

あまりの恐怖に思わず顔をそむける。
しかし聞えてきたのは覆面のうめき声だった。

呆然と立ち尽くす。真澄が持っていた傘の先端が男の右目に深々と突き刺さっていた。

思わず突き出した傘の持ち手の部分がブロック塀にあたり、先端が突進してきた男の顔面を直撃したらしい。