(早希助けてあげられなくてゴメンね……私も行くから)

だが次の瞬間には猛烈に生への渇望が湧き上がった。

(死にたくない!早希を殺した奴なんかに私まで……嫌だ嫌だ!助けてお父さん)

恐怖とショックで硬直していた体が一瞬の内に反応した。
左手で顔をかばいながら右後方にのけぞって倒れこむ。

左手の肘に鋭い痛みが走った。

(大丈夫、かすっただけだわ)

直ぐに起き上がると自転車も急ブレーキをかけてこちらに向き直った。

そこだけが露出している口元がニヤッと笑うのが見える。

(負けるもんか!早希……お父さん……力を貸して)