それに背中を押した?……二人は並んで歩いたはずではなかったのか。
なぜあの瞬間だけ隼人は自分の背後にいたのだろう……。

隼人は無傷である。あの角度から車が来たのなら、あのまま真っ直ぐ歩いていても隼人には車は接触しなかっただろう。
考えるほどに深みにはまっていく気がして晶は頭を振った。

「あいた……」

後頭部に刺すような痛みが走り思わず顔をしかめる。

「考えすぎ考えすぎ」

出来るだけ軽い口調で声に出してみた。

考えればそんな刹那に車の角度まで計算して押したり引いたりは出来ないだろう。

隼人なりに咄嗟の判断で自分を助けようと突き飛ばしてしまったのかもしれない。
後で余計な事をしてしまったと後悔して今夜は傍にいてくれようとしたのかもしれない。