混乱しながらも晶はなんとか答えた。まったく寝耳に水、思いもよらない利那の言葉である。

「もっと遠くに引越したい……あなた達のいない所へ」

「それは困るよ、うち男手無いし……なんか気に障ったなら謝るから泣かないでよ、お義姉さん」

「晶行こう」

「えっ、でも」

「何言っても無駄だよ、藤川さんちょっと混乱してるし……今日のところは晶も弁解したんだし後は少し頭冷やしてもらお」

利那の旧姓を交えながら利那には聞えないように耳元で呟く。

「藤川さんゴメンなさい、私達帰ります」

尚も涙をこぼしながら下を向く利那の言葉を待たずに真澄は晶の手を引っ張って外に出た。

「ちょ、ちょっと真澄、どうなってるの?」