「あっ、じゃあ俺も帰る。途中まで一緒に行こうよ」

「ごめん隼人、今日はやめとく」

「どうして?小山さんと帰る方向一緒だよ」

「二人にしといてやれ」

抑えた口調ながらも多少の怒気を含んだ拓海の言い回しに隼人は黙り込んだ。表情に不満が満ち溢れる。

「そ、そんなんじゃなくて……あの、真澄とお茶でも飲んで帰ろうかなって思ったの」

「そう」

慌てて付け加えた晶の言葉にも隼人の視線は拓海を睨みつけたままだった。凄惨な事件のせいで皆殺気立っているのか……。

「お兄ちゃんも行こう、お義姉さん待ってるよ」

「そうだな」