「事情は聞いたよ。何て言ったらいいか……元気出せって言われても無理だろうけど元気出しなよ」

悲しみの中で真澄は、隼人がどういう心境なのか推測しかねた。
やはり早希の方から強引に隼人にくっついていただけだったのだろうか?

誰も何も話さず長く重苦しい沈黙が続く。
雄大や真澄だって晶と拓海から見れば他人なのだが、隼人が入ってきた瞬間から、まるで部外者が遠慮無しに入ってきたような錯覚を覚えた。

つい先日には早希と隼人が歩いている現場を目撃してしまい、あれほど嫉妬と憎悪の炎を燃やした晶なのに今は平気で隼人の顔を見ることが出来る。

晶は自分がどういう想いを持っているのか分からなくなってきた。

「じゃあ僕はそろそろ帰るよ」

重い空気に耐えかねたように雄大が声を発した。

「そうか送っていかないけど大丈夫か?」