晶はスカーフをとって見る勇気がなかった。
今にも目をあけて笑い出しそうな穏やかな寝顔。
間も無く業火で灰になってしまうなんて考えたくもなかった。

「真澄泣かないで……泣いてたら早希も天国へ行けないよ。私達もいつか行くから待っててねって送り出してあげよう」

「だ、だって……だって……」

真澄は嗚咽で言葉にならない。
当たり前のように傍にいた早希が今は居ない。
もう二度と話す事もない。それがどうしても信じられなかった。

遠慮がちに小さいノックが響く。

「はい……」

ドアが静かに開き拓海と雄大が入ってきた。二人とも黒いスーツのままである。

「伊藤さん……気にするなって言っても無理だろうけど、でも……」