「そんなんでいいの?それぐらいだったら何とかなるよ」

ホッとしたような礼一の笑顔が今も忘れられない。

それから猛勉強を重ねた早希は念願どおり希望大学のA判定を勝ち取った。

「先生やったよ!A取った。約束覚えてる」

「覚えてるよ、おめでとう。この成績ならきっと大丈夫だ」

模試の結果を握り締め子供の様に頬を上気させながらはしゃぐ早希の頭を礼一は優しく撫でてくれた。
嬉しさのあまり、その日は髪を洗わなかった程である。

約束の日、生憎の曇り空だったが早希の心は燃え上がる夏の空と同じであった。

お気に入りの可愛い下着を身に付け、今日の為に買ったピンクのワンピースで礼一の軽自動車の助手席に座る早希の姿があった。