掴まれた手は数時間前にも真左人に掴まれた所なのだ。
一瞬隼人が真左人に見えて晶は後ずさりした。

「ごめんなさい……疲れてるの。今日はお願いだから帰って。また連絡するから」

目に涙が浮かぶ。

「……心配で帰れないよ。何か悩みがあるんなら言ってくれよ」

「ごめん……何でもない。大丈夫だから」

なおも心配そうな隼人を残して、晶はバスルームに駆け込んだ。

火傷しそうに熱い湯をひたすら浴びる。どれだけ洗い流しても真左人の感触が消えない。

お湯と冷水を交互に浴び大分すっきりした晶は濡れた髪のままでリビングに戻った。

「隼人は？」

「もう帰ったわよ。晶が帰れって言ったんじゃない」