俺は4年生の大学だったから、就職するなり家を出た

瑞希は6年生の大学だったから、今年卒業したばかりだった

就職して3か月が過ぎたばかりの瑞希は、生活環境が慣れるまで…と一人暮らしを引きのばしている

ただ家のことが何もできない瑞希の甘えだろう

祖父も祖母も、何も言わないから

「ほらほら、待ってるんやで」

瑞希に言われて家の中を見ると、庭先に祖母が笑顔で立っていた

くそっ
あんなところに立っていたら、家にあがるしかねえだろ

「車を車庫に入れてから行くから
先に居間に行ってろ」

「りょーかい! ばっちゃん、竜ボンのためにクッキー焼いてたで」

瑞希がドアを閉めた

俺は煙草の火を消すと、ハンドルに手を置いた