「谷さーん、三沢さーん」

徹が大きな声を出して、二人の名前を呼び始めた。

俺も瑞希も、大きな声で二人の名を呼ぶ

返事はない

雨が一層強くなる

傘をさしているのが、面倒になるくらい激しく身体に雨が突き刺さった

どこにいるのだろう

こんな暗い場所で、一晩
二人は何をしていたのだろうか

雨も降っているのに、雷も鳴ったのに
別荘には戻らずに、ずっとこんな森の中で
雨宿りするような場所なんてない

「竜ボン! 来てみぃや」

瑞希の声が聞こえた

低くて、いつもの瑞希の声のトーンとは違う

明らかに危機迫っている

俺は身体の向きを変えると、瑞希の声がしたほうへと足を向けた

「瑞希、見つかったの……か……くそっ!
遅かったか」

俺は瑞希越しに倒れている人間二人を眺めた

「二人、見つかったんですか?」

事情の呑み込めていない徹がのんきに近づいてきた

「徹さん、別荘に戻って警察に連絡してください」

俺は後ろに立った徹に目を合わせずに、呟いた