『本当に行くんだ』
携帯の向こうから冷ややかな声が聞こえてきた
もちろん相手は恋人だ
「だから…埋め合わせはするから」
車中の狭い空間は、気まずい空気で埋め尽くされている
俺は片手で煙草を箱から一本出して、口にくわえる
『一度も埋め合わせをしてもらった記憶がないんだけれど、私の記憶違い?
付き合って2か月、何度デートをすっぽかされたかな?
今日が8回目?
仕事じゃなくて、友人と旅行に行くっていう理由は初めてな気がする』
俺は口にくわえた煙草を人さし指と中指の間に挟むと、煙草を持ったまま手を太ももの上に置いた
『仕事が忙しいのは理解しているわ
だから仕事でデートがキャンセルになるなら何も言わない』
ご尤もな意見だ
急な仕事なときでも、疑わずに俺を送り出してくれた
仕事への理解が深くて、今までで一番付き合いやすい女性なのはわかっている
「12日に帰ってくるから」
『何? 12日から一緒に過ごそうって言うの?
あら、困ったわね
12日から私が仕事なのは知っているはずよ
それとも忘れちゃった?
カレンダーに当直の日は書きこんでおいたと思うけど?』
地雷を踏んだ
俺は後頭部を掻きむしった
携帯の向こうから冷ややかな声が聞こえてきた
もちろん相手は恋人だ
「だから…埋め合わせはするから」
車中の狭い空間は、気まずい空気で埋め尽くされている
俺は片手で煙草を箱から一本出して、口にくわえる
『一度も埋め合わせをしてもらった記憶がないんだけれど、私の記憶違い?
付き合って2か月、何度デートをすっぽかされたかな?
今日が8回目?
仕事じゃなくて、友人と旅行に行くっていう理由は初めてな気がする』
俺は口にくわえた煙草を人さし指と中指の間に挟むと、煙草を持ったまま手を太ももの上に置いた
『仕事が忙しいのは理解しているわ
だから仕事でデートがキャンセルになるなら何も言わない』
ご尤もな意見だ
急な仕事なときでも、疑わずに俺を送り出してくれた
仕事への理解が深くて、今までで一番付き合いやすい女性なのはわかっている
「12日に帰ってくるから」
『何? 12日から一緒に過ごそうって言うの?
あら、困ったわね
12日から私が仕事なのは知っているはずよ
それとも忘れちゃった?
カレンダーに当直の日は書きこんでおいたと思うけど?』
地雷を踏んだ
俺は後頭部を掻きむしった