だろうな
ケチな瑞希に俺の旅行費まで肩代わりする気なんてあるわけがない

相手持ちの旅行か
どんな女だ?

瑞希の旅行代まで出してくれる金持ち女って

相当な物好きか……
金に執着のない女か

「旅行会社の女の子なんやけどな
その子所有の島を観光地にしようっていう試験的な旅行なんや
だから旅費は女の子持ちぃ
んで、旅行が終わったら感想をレポートするっていう内容や
どや、ええやろ?
んじゃ、10日の午前11時に御迎えよろしゅうな」

「あ、おい!」

言いたいことを言い終えた瑞希が、通話を一方的に遮断した

俺の耳には、ツーツーという電子音だけが入ってきた

「何、勝手に…」

交通費ってあいつ持ちじゃねえの?

何で俺が瑞希の御迎えに行かなくちゃなんだよ

俺は携帯を二つに折ると、ベッドボードの所定の位置に置く

「交通費はあいつだよな?
俺が迎えに行くんじゃ、俺の車で船着場まで行く…んだよな?…ってことは交通費は俺持ちか?」

瑞希め!
ちゃっかり交通費を浮かせやがって