スタッフルームのドアが開くと、長身の男がすぅっと通り過ぎて行った

俺は思わず、鼻がひくひくしてしまう

変わった臭いがした

たばこっぽいが、吸った直後の強いにおいとは程遠い
微かに香り、それを隠すかのように甘い香水のにおいがした

俺は振り返って男を見つめた

身長は俺と同じくらいか…少し高いかも

俺が183センチだから、もしかしたら185センチはあるかもしれない

頬が痩せこけて、青白い顔をしている
見るからに神経質そうで、ストレスをため込んでいそうな男だ

胃潰瘍とかやってそうだ
ま、俺が見るイメージだから、意外と健康体かもしれないが

鋭い目で俺の存在を確認した男は、スタッフルームの奥にある椅子に腰をおろした

折れてしまいそうな細長い足を組むと、実花さんの顔を見た