スタッフルームに入ると、救急箱を実花さんが探し始めた

「確か、このへんに……」

棚の中をがさごそとかき回している

「瑞希とはどこで知り合ったんですか?」

「え? 聞いてないんですか?」

実花さんは俺に背を向けたまま、答えた

「離れて生活をしてますから、旅行に行くって話ししかしてないんです」

「コンパです
久我さんのお友達が私の友人の彼氏だったので…それで
久我さんってとても明るくて、面白い方で一緒にいて楽しいんです」

表の瑞希ならね
裏の瑞希をまだ知らないんだ

こんなお嬢様に瑞希を支えられるのだろうか?

あいつの過去を、受け止められうのか?

「冗談ばっかで会話が進まないんですけどね」

俺は実花さんに近づくと、棚の上にある箱を手に取った

「お探し物はこれですか?」

「え? あ…これです!
高いところにあったら見えないのにぃ」

見えるだろ!
実花さんってちょっと抜けてる人なのか?

瑞希はしっかりしている人より、こういうお茶目な人が好きなのか

あいつ自身が抜けてるのに、付き合っていけるのかよ