話をしながら、空いているテーブルを見つけたようだ

テーブルに近づくと、手荷物を置いて、椅子に腰かけようとした

男がさきに座る

女が腰をおろしている途中で動きを止め、少し尻をあげてから椅子に座った

スカートの位置が気に入らなかったのか?

俺はまた携帯の画面に目を戻した

電波が悪いらしく、なかなか受信してくれない

またカップルに視線を動かす

男が上着のカラーシャツを脱ぐと、彼女の膝の上にかけた

パンツでも見られないようにしたのか?

気にするなら、スカートなんか穿かせるなよ

ああいうのって見てるほうが苛々するんだ

携帯の画面が明るくなり、俺の目は携帯に戻る

け…圏外かよっ!

俺は携帯を閉じると、鞄の中に放り投げた

使えないと思わなかったな

俺は息を鼻から噴射すると、額を掻いた

「あの……久我さんは?」

実花さんが近づいてくると俺に質問してきた

「あ。酔ったみたいで、トイレに行きました」

「え? 大丈夫ですか?
薬…持ってきますよ」

実花さんが驚いた顔をするなり、ドアに向かって歩きだした

「俺も、一緒に行きますよ」

俺は立ち上がると、実花さんと部屋を出た