広いパーティルームにたった6人

名の知らない男2人がちらちらと俺と瑞希の様子をうかがっている

女性2人は椅子に座って、おしゃべりを楽しんでいた

時折、キーの高い笑い声がパーティルーム内に響く

俺は可愛いらしい笑い声なんて久しぶりに聞いた気がした

俺は持ってきた推理小説を読み始め、瑞希は床に座り込んで転寝をしていた

瑞希は仕事の疲れが溜まっているのだろう

人数不足の部署に配属されて、3日1回は泊りの仕事をしている

「なあ、竜ボン、何の本を読んでるん?」

片目だけ開けると、瑞希が口を開いた

寝起きの声はかすれていて、まるで風邪をひいているかのようだった

「『無人島密室殺人事件 事件の裏に女あり』」

俺は表題を読み上げた

瑞希の眉間に皺が寄ると、立ち上がった

「なんでやねん
そういう不吉な本を持ってくるなや」

瑞希が苦笑をすると、肩を揺らした。

「不吉? なぜ、そう思う
読みたいから持ってきただけだ
現実の世界で、目の前の死体が転がると思ってるのか?
あるわけないだろう」

俺は本の文章に目を戻した