違うだろ!
お前が詳しい話もせずに、俺を引き摺りこんだだろうがっ。

別にいいけど
瑞希の性格は知ってるし、変な旅行なら断ってるはずだ

…たぶんな
自信はないが

それなりにわかっているはずだ

「楽しい卒業旅行になるといいですね」

実花さんが俺達二人に微笑んだ

は?
『卒業旅行』って?

俺は実花さんに笑みを返したあと、瑞希の顔を睨んだ

「聞いてないぞ!」

俺は小声で、瑞希の耳に叫ぶ

「言うてなかったかなぁ…」

瑞希がこめかみを掻きながら、苦笑いを浮かべた

「ああ、聞いてないね
『卒業旅行』はフランスに一人旅…じゃなかったのか?
パスポートをとって、海外に行ったと俺は記憶してるが?」

「まあ、ええやん
竜ボンとはしておらへんし」

「するか!
お前とは学校も違うしな
俺はもう社会人3年目なんだよ」

「俺はまだ一年目や
それに、実花ちゃんと仲良ぉなたくてな…思いつくのが旅行しかなかったんや
卒業旅行を行きそびれてしもた…って言ったら、この旅行の企画を教えてくれて……チャンスが出来たんや!」

「ほおぉ、それは良かったな
おかげで俺は遥に別れを突きつけられる」

「なんや、やっぱ別れるん?」

「お前のせいだ」

瑞希が嬉しそうに微笑んだ

その笑みが、俺の怒りを増長させた