「ばーか」
私は照れくさくて、手を振り返さずに歩き出した。
階段を下りる前に振り向くと、勇介はまだ私を見つめていた。
私は軽く手を上げて、階段を下りた。
こんな私でいいの?
かわいくないし、素直じゃないし、どこが私の長所なのかわからない。
バスに乗り、私は今日の旅のことを振り返っていた。
日帰りで、短い時間だったけど、私はとても長い旅を終えたような気持ちだった。
バスを降り、家まで歩く道で、大きな夕日が見えた。
まん丸で大きくて、とても眩しいオレンジ色。
胸を張り、堂々と歩く。
自信を持って。
私は私でいい。
直と比べる必要もない。
誰かと比べるんじゃなく、私の人生は私だけのもの。