胸がときめくのかわからない。
好みの顔じゃないし、真面目っぽいし、ただの乗務員なのに。
「仕事に戻りなよ」
「ははは、その様子じゃ、もう安心ですね。さっきとは別人です」
さっきの私はどう見えた?
かわいかった?
素直だった?
「じゃあ、戻ります。どうしてここにいたんですか?」
両手を腰に当て、かぶっている帽子をキュキュっと直した。
「別に……」
私は視線を窓の外に移した。
ドキドキしていることを悟られないように。
高森勇介は、それじゃあと言って、私から離れた。
その時、理恵子の声が聞こえた気がした。
『何やってんの。奈美!お礼言いたいんでしょ!』