「あの!」
高森勇介に似た後姿に話しかけた。
同じ制服を着ているとみんな同じ後姿に見える。
「どうかされましたか?」
振り向いたのは、全然別人。
何もないですと言い、私は席に戻った。
誠人は、初恋の花帆ちゃんと付き合うことになるだろう。
ふたりは運命の赤い糸で結ばれていたのかな。
長い時間を越えて、気持ちが通じ合うってすごい。
私は、今までたくさんの人を傷つけてきたし、いろんな悪いこともしてきた。
罰が当たったのかな。
ミキオ以外の男に興味がわかないなんてさ。
財布の中にずっと入れている一枚の写真。
ミキオと理恵子とバンドの他のメンバーも一緒。
この写真だけは捨てられない。
私の青春だから。
私の居場所だから。