理恵子が死んでから、しばらくして、私はミキオと付き合いだした。
寂しかった私を救ってくれたミキオ。
同情だったのかも知れない。
ひとりぼっちになった私を元気付けたかったのかも知れない。
ミキオは、彼女がいて、私はそれを知っていて……
そんな相手と付き合うなんておかしいと思うけど、そのときの私にはミキオしかいなかった。
私はミキオやユウ達との時間が唯一安らげる時間だった。
そこに理恵子がいるような気がしたから。
みんなが理恵子の話をして、理恵子は確かにそこに生きていた。
ミキオがバンドを辞め、あのライブハウスに集まることができなくなった。
私とミキオの仲は、秘密だった。
だからこうしてこの場所に来て、よくこの席で話していた。
話す内容は、いつも……理恵子のことだった。