【空…~んで…鳥だっ…~】



だんだん声がはっきりしてくる。
決して大きい声ではないが
少しずつ聞こえてくる。



たしかこの道を行けば
川原があるはず。



俺は声に惹かれるように
ただ道を歩いた。



そして、近づくにつれて
その声が歌声だということに気付く。



【ねぇ、…が青い…~君が…】


だんだん聞こえてくる。
女の人の声。



今日のレイカやマミのような
高い声じゃなく
落ち着いたソプラノの声。



優しいけれど、哀愁のある声。


俺はそばにある木に隠れて
そっと歌を歌う人物を見た。



【 ~を叶えてあげるから
    帰っておいで
    待ってるから
  僕には君しか見えない
  君しか見たくないんだ。
  僕は此所に。ずっと此所に
     君は何処?
     ねぇ、神様。
  僕からあの子を奪わないで】



暗いせいで歌ってる人はよく見えないけれど
彼女の歌は、俺の心に染みていった。



俺は、しばらくその歌を聴いていた。