傘…傘って
あたし、傘持ってないじゃん!!


「はぁ〜…」
あたしは、玄関にしゃがみ込んだ。
何、やってんだろー…あたし…
今日、最悪だよ…


「どうしたの?」
聞き覚えのある声…
「ふぇ…?」
顔を上げると、そこにはあたしの
大好きな人が、あたしの前にしゃがんでいた。

「千葉くん…」
「何、泣きそうな顔してるの?」
千葉くんは、そう言ってあたしの
頭を撫でた。

「……」
千葉くんの事とかで悩んでる…
なんて、言えないよっ…!!

「傘、忘れちゃったの?」   そんな、優しく聞くなんて反則だよ。
「うん…」
あたしは、頷いた。

千葉くんは、あたしを見てニッコリ笑うと
「一緒に帰ろっ☆」
って言ってくれた。


お言葉に甘えて、傘に入れてもらう事にした。