「偉かったね、滝野。

私は、滝野がどんなにあの人の事好きだったか、知ってた。

でも、あいつは不実で最低な奴で、滝野を……裏切った」
 
彼女は、顔を手で覆い、こくこくと頷いた。

「……滝野は、凄い一途なんだよね。

でもあの男はそれが分からない、馬鹿で身の程知らずだったんだ。

そんな人間を、未練がましく追わない滝野は、とっても強いんだよ。

……元気出して、滝野。


滝野みたいな人が、本当に幸せになれるんだから」
 

私は滝野の頭を撫でながら、そんな事を語った。

しばらくしてから、落ち着いた滝野は、笑顔で私に言った。

「ありがとう、緒方………あのね」

「何?」




「トイレ貸して」