英作は、またしきりに寝間着の袖で目をこする。

その様子が、なんだかすっかり弱ってしまった老人のようで、善吾郎も泣けてきた。

にじんだ涙を拳でぐいとぬぐい、力を込めて言う。

「英ちゃんがしょぼくれてちゃあ、おれもなんか張り合いがねぇわ。やっと治して、カマクラこさえて酒でも呑むべ?」