「毎日降りますねぇ」

ストーブの前で背中をあぶっている美代が、毛糸編みの手を休めて善吾郎を見上げた。

善吾郎は、さっきから台所と居間を行ったり来たりして落ち着かない。

ときおり、台所の二重窓の内側を開けて外の様子を覗いている。

台所から見えるのは隣家の英作の家の玄関だ。

「ちょっとこれを背中に当ててみてくださいな」