プンプンと頭の上から湯気を出しながら、善吾郎は美代を心配して家の中へ入ろうとしたが、そこへ鉢合わせするように美代が出てきた。

手にはアルミの石炭スコップを携えている。

「柴田さん、あなたが落としたのはこのアルミのスコップですか?」

美代が笑いながら屋根の上の男たちに言ったので、スコップを放り投げた柴田も少しは気が楽になったようだ。