そのとき、善吾郎宅の奥の家のほうで、ガッチャン! というガラスの割れる音がした。

雪下ろし中の男たちがどよめいて、口々に己の失策を悔やむ声が聞こえる。

「なしたのさ?」

善吾郎は奥の屋根に向かって叫んだ。

「いやぁ、スコップ放っちまったべさ」

雪といっしょに持っていたスコップを放り投げてしまったらしい。

そこに運悪く窓があったというわけだ。