「陽一くん! やっと起きれ! 寝過ごすんじゃねぇべ!」

枕を抱えて太平楽な陽一の布団を容赦なく引っぺがして、善吾郎はせき立てた。

低く、大地を揺るがす音が近づいている。

ごごごごご。

その振動で築四十年の大江戸家は、ぶーふーうーの藁の家のようにゆらゆらと揺れ始めた。