雪は小やみになっていた。

夕飯にカニ鍋を食べ、日本酒もいい具合に回り、大江戸家は一家団欒をしていた。

善吾郎は上機嫌で、陽一と差しつ差されつ。

労働のあとの一杯は旨いとかやっぱり息子と呑むのは最高だとか盛り上がっている。

そうして頬を染めている姿を見ると、どこにでもいる好々爺なのだが、ジョンバを握らせると人が変わるのはやはりサムライの末裔だからだろうか。

などと、陽一は酔った頭でとんちんかんなことを考える。

方言の強い義父と通じない会話をしながら杯を重ねているうち、夜も更けた。