隣家の庭から陽一の七転八倒ぶりを覗いていたのは英作だ。

善吾郎はこめかみをひくひくさせて怒りをあらわにする。

「そったら、べんこふってんじゃねぇべ。けったくそ悪りぃ!」

「おれは、なんも。えがったと思ったからえがったって言っただけっしょや」

むう、と唸って善吾郎が英作を睨みつけたとき、絶妙のタイミングで美代がお盆を持って出てきた。