陽一は赤いジョンバを手に、老人の働く様子を呆然と見ていた。

落雪の迫力に魂を抜かれてしまった感じだ。

一瞬にして、なにもなかった場所に自分の身長ほどの雪山ができあがっていた。

あのとき、あほづらをしたまま屋根からせり出した雪を見上げていた自分の立っていた場所は、すっかり雪の中である。

この量の雪に頭上から押しつぶされることを想像すると、とてもただではすみそうもなかった。

陽一は、ぶるっと体を震わせた。