善吾郎は陽一の腕を掴んで引っ張った。

突然の馬鹿力で引っ張られて、陽一は庭によろめく。

陽一がおっとっととたたらを踏んだとき、その背後で雪崩のような音がとどろいた。

ずごごご、という音をたてて屋根の上から雪の固まりが落下する。

最初は亀裂が入って空中にせり出していた部分が、そしてそれが落ちた震動によってさらに屋根のてっぺんに積もっていた部分が勢いをつけて一気に落ちてきた。