「もっとちゃんと、止めてあげたら良かったのに」

床暖の上に置いた火のないコタツでミカンをむきながら、美代が娘につぶやいた。

「あれで言い出したら聞かないのよ。誰かさんそっくり」

自分もミカンに手を伸ばしながら、珠子は他人事のように言う。