「冬道は滑っからな。てっくり返って怪我すっといけねぇべ?」

だからといって膝までもある長靴を用意するというのも、さすが戦前生まれの徹底したところだが、陽一は自分のために用意してもらったという事実に感動したのか、しきりに何度も礼を繰り返した。

身支度を調えると、陽一は旅の疲れも見せず、意気揚々と善吾郎の後に続いた。