「なに言ってるんだ、珠子。力仕事なら、お父さん一人に働かせて、若い者がのうのうとお茶を飲んでいるわけにはいかないだろう?」

珠子は曖昧に微笑み、やれやれと夫から目線を外した。

これで、陽一も一度言い出したら聞かないところがある。

そんなところは善吾郎そっくりだ。

やはり父親とどこか似た男を伴侶として選んでしまうものなのだろうかと、珠子は複雑な気持ちになった。